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シリコンバレーの語源はシリカだった?
IT企業の聖地とシリカの意外な関係

IT企業の聖地と呼ばれている「シリコンバレー(Silicon Valley)」。アメリカ合衆国カリフォルニア州の主要都市、サンフランシスコの南岸に位置する地域です。グーグル(Google)やフェイスブック(Facebook)、アップル(Apple)、インテル(Intel)など世界有数のハイテク企業がこの地から誕生しました。

シリコンバレーの「シリコン」は半導体を意味します。多くの半導体メーカーが集まっていたことと、渓谷という地域に由来して名付けられました。

半導体はコンピューターの心臓部であり、パソコンやテレビ、スマートフォン、デジタルカメラなどに使われています。もはや私たちの生活に欠かせない存在と言っても過言ではないでしょう。

その半導体の主原料になるのが「シリコン(元素記号=Si)」です。日本語では「ケイ素」とも呼ばれ、地球上で酸素に次いで多い元素であり、土壌や岩石をはじめとして、水や樹木、植物に至るまであらゆるところに存在しています。私たちの骨や皮膚、毛髪、爪、血管、関節などにも含まれ、人間を含む全ての生命体にとって重要な役割を担っています。

ケイ素は酸素と結びつきやすく、単体では自然界に存在していません。大部分は酸素と結びついた「二酸化ケイ素(SiO2)」として存在しています。化学名の他にも、シリカや石英、水晶の名前で知られていますが、いずれもケイ素原子と酸素が結合してできあがったものです。

しかし、そのままでは純度が低く、工業用として使用することはできません。二酸化ケイ素から酸素をはがしてケイ素だけにしたものを「金属ケイ素」、またの名をシリコンといいます。

集積回路(IC)の半導体には、通称イレブン・ナインと呼ばれる99.999999999%もの高純度に精製された「多結晶シリコン」が用いられています。

半導体産業を支えるシリコン

そもそも半導体とはどのようなものなのでしょうか。

物質には、電気を通しやすい性質の「導体」と電気を通しにくい性質の「絶縁体」があります。導体に代表されるのが、電気抵抗が低く、電流が流れやすい金や銀、銅などです。絶縁体には、電気抵抗が高く、電流が流れにくいゴムやガラス、セラミックなどが相当します。

その中間の性質を備えた物質が半導体です。半導体は、温度によって抵抗率が変化します。低温時は電気が流れにくいのですが、温度が高くなるにつれて電気が通りやすくなります。こうした性質が、多くの電化製品の制御を行う上で、大いに役立っているのです。

シリコンは電気を通しにくいものの、全く電気を通さないわけではないという性質があります。高純度のシリコンはほとんど電気を通しませんが、不純物を添加することによって電気を通しやすくすることも可能です。

ここで気をつけなければならないのが、半導体で使用されているシリコンとシャンプーやゴムなどに使用されている「シリコーン(silicone)」の違いです。どちらもシリカを原料としたものですが、全く別物と考えてください。

シリコーンは二酸化ケイ素を還元して金属ケイ素にしたものに化学反応を加えて作り出した人工の化合物です。一般的には「シリコン樹脂」、略してシリコンと呼ばれることが多く、ケイ素のシリコンと紛らわしいので注意しましょう。

私たちの身近にあるほとんどの電子機器には半導体が使われています。その主たる材料となるシリコンは、あらゆる製品の中で核となる重要な存在と言えるでしょう。