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ストレスが関係する心の病気
アルコール依存症
一般的に、楽しい時ばかりではなく、いやなことを忘れたり、ストレスを発散するためにお酒を飲む人は、案外多いのではないでしょうか。しかし、それを繰り返していると、脳の反応が変化してしまい、やめたくてもやめられない状態に陥ることがあります。いわゆる「アルコール依存症」というものです。
1. アルコール依存症とは?
いつもお酒を飲みすぎてしまう人の中には、どんな状況下でも飲みたくなってしまい、一旦飲みだしたらやめられないという人がいます。このように大量のお酒を飲み続けることが長年の習慣になっており、お酒がないとどうにもならないという状態がアルコール依存症です。その影響は計り知れず、心身共に疲弊し、仕事を失い生活が立ち行かなくなることもあります。また、アルコールが抜けると様々な離脱症状(頭痛、吐き気、手の震え、動悸、頻脈、不眠、神経過敏など)がでてくるので、それから逃れるためにさらに飲んでしまうという悪循環に陥ってしまうのです。
2. アルコール依存症のメカニズム
依存症には、脳の「脳内報酬系」という部位と快楽物質であるドーパミンが大きく関わっています。飲酒によってその部位が刺激を受けると、ドーパミンが大量に放出されて快楽が得られるのです。しかし長期間飲み続けて依存状態になると、「脳内報酬系」は次第に鈍感になって、ドーパミンが放出されず、いくら飲んでも充分な快楽を得ることができなくなります。そのため、ますます大量の飲酒をしてしまうのがアルコール依存症という病気なのです。ですから、お酒をやめようとしてもやめられないのは、「意志が弱い。」とか「根性がない。」からではなく、脳の仕業だといえるでしょう。
3. アルコール依存症がひきおこす問題
アルコール依存症になると、第一に飲酒のことしか考えられなくなり、正常な社会生活を営むことができなくなってしまいます。
・食事や睡眠が充分にとれなくなり、健康を損なう。
・学校や仕事を休むようになる。
・家族に嘘をつく。
・借金をする。
・暴れる。
このように、アルコール依存症の患者がいると、家族は大変な苦労を強いられることになり「地獄を見たければ、アルコール依存症者のいる家庭を見よ。」と言われるほどなのです。
4. アルコール依存症の治療法
前述のように、アルコール依存症は脳の病気なので、本人や家族の力だけでは治すことができません。専門の施設で3段階の入院治療を行うのが一般的です。1番目には、心と身体におきている合併症や離脱症状の治療を行い、次に精神療法で本人に飲酒問題を認識させ、断酒の決断に導きます。また、自助グループに参加することを始め、抗酒薬の投与も開始します。最後は、退院後のアフターケアですが、病院への通院、抗酒薬の服用、自助グループへの参加を継続させることです。
依存症は「孤独の病気」とも言われ、患者は、周囲にうまくなじめないという孤独感やストレスを抱えていることが多く、また、自分に自信が持てないためアルコール(その他、薬物やギャンブルなど)に頼ってしまうようです。そのような状態に家族が早く気がついて、速やかに対応することが、重度のアルコール依存症を防ぐ鍵なのではないでしょうか。