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ストレスが関係する心の病気
摂食障害とは?

今、私たちの生活の中には、いたるところにストレスのもとがあるといってよい状態でしょう。そして、精神的また身体的ストレスが重なると、うつ病やその他の病気が引き起こされます。その一つである摂食障害は、どのような病気なのでしょうか?

1.「摂食障害」とは?
摂食障害には、拒食症と過食症という食生活の異常を呈する2つのタイプがあります。
拒食症では、食事をほとんど摂れなくなり、体重が極端に減る、生理がこなくなるなどの症状が見られます。一方、拒食症では、食べ始めると止まらない、食べ過ぎては自発的に吐く、また、食べ過ぎたことを後悔してひどく落ち込むなどの症状があるのです。拒食と過食とは正反対の行為ですが、拒食から過食へ、また過食から拒食へと移行することもあります。

2. 「摂食障害」の原因は何?
ダイエットがきっかけで摂食障害を発症する場合があります。その他、ストレスも一因となりますが、ひとつの原因だけで引き起こされるわけではありません。
特に若い女性の場合は、「やせているほうが、美しい。」という社会通念によって心理的に縛られていたり、太っていることを揶揄された経験があったり、家庭に問題がある、性的被害があるなどが発症の原因になると考えられています。
このように、摂食障害は、社会的、心理的な要因が重なったところへ、何らかの直接的な要因が働き発症するというケースが多く、ただ単に痩せたいという願望が強くなったものではないのです。

3. 「摂食障害」の症状
失恋して食欲がない、ストレスがたまったから甘いものを食べまくる、といったことは誰にでも覚えがあるでしょう。しかし、極端に体重が減ったり、食べた後にすぐに吐いたり下剤を飲んだりといった行為を繰り返すことは、正常な状態とは言えず、摂食障害の疑いが濃厚です。
このような状態を放置すると、心身共に疲れ果てて、取り返しのつかないことになる可能性もあります。特に拒食症の場合は、標準体重の60%以下までやせてしまうと、電解質異常による不整脈、低栄養による低血糖や腎不全など、重い疾患をひきおこしやすくなるのです。
また、アルコールや薬物依存症、抑うつなどの精神疾患を合併することが多く、万引きや自傷行為、自殺の企図など衝動的な行動もよく見られます。

4. 「摂食障害」の治療法
摂食障害では、本人が体重の増加を嫌がり治療を拒むことが多々あるため、家族や友達、学校など周りの協力が大変重要になってきます。また、家族との関係が引き金になることも多く、その場合は家族へのカウンセリングも必要です。摂食障害の治療には「認知行動療法」が用いられ、その他必要に応じて、投薬や栄養指導などが行われます。

摂食障害は、ダイエットの延長上にあるかのように感じられ、よく知らなければ危機感の薄い印象かもしれませんが、実は複雑な心理的ストレスがその根底に横たわった深刻な精神疾患で、最悪の場合死に至ることもあります。家族が摂食障害と診断されたら、本人がしっかり治療を受けられるように、皆で協力してサポートしていくことが大切なのです。