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ケイ素とミトコンドリア-1

「ミトコンドリア」という言葉をご存知でしょうか?中学校の理科の授業で聞いたことがあるという方も多いでしょう。
ミトコンドリアは、実はケイ素と深い関係があります。
人間の体の中には、約60兆もの細胞が存在すると言われています。その細胞の一つ一つに実はミトコンドリアが入っていることをご存知でしょうか?それも一つの細胞になんと、多いもので数千個ものミトコンドリアがいるというのです。

ミトコンドリアはエネルギーを作り出す

ミトコンドリアは、細胞の中でエネルギーを生み出しています。人は生きていくために、エネルギーを必要としますが、そのほとんどはミトコンドリアが生産したものです。そのため、ミトコンドリアの数は、体内の場所によって異なります。
例えば、人の脳や心臓や胃腸、肺などは24時間活動し、多くのエネルギーを消費する臓器ですが、そういった部分にはミトコンドリアが大量に存在していると言います。

活性酸素とは何か?

ミトコンドリアはどのようにエネルギーを生み出すのでしょうか?
実は、ミトコンドリアは、酸素を大量に使用してエネルギーを生みます。そのときに発生するのが活性酸素です。活性酸素は老化の原因になることで知られているので、何か悪いもののように思われているかもしれません。しかし、活性酸素は身体のために必要なものでもあるのです。活性酸素とは酸化させる作用が活発な酸素のことですが、酸化力があるのと同時に殺菌力もあります。体内にはいろいろな細菌が侵入しますが、活性酸素はそんな細菌類を退治する役割があり、人体の健康を維持するためにも欠かすことのできない大切な役割を担っているのです。

ミトコンドリアを傷つける活性酸素

ミトコンドリアのエネルギー生産と一緒に生まれる活性酸素は、もしミトコンドリアが健康であれば酵素の力で必要以上に酸化されないように、活性酸素を中和する働きがあります。しかし、加齢によってミトコンドリアの働きが鈍れば、活性酸素は増えすぎてしまい、そのうちミトコンドリアの周囲を酸化させ、どんどん壊してしまいます。さらにはミトコンドリア自身を傷つけ始め、やがてミトコンドリアのDNAを破壊してしまう恐れがあるのです。

ミトコンドリアのATP生産能力

ミトコンドリアは、グルコースという、いわゆる糖を原料にしてATPを合成しています。
ATPは正式名称をアデノシン三リン酸といいますが、私たちの体内で毎日大量に作られるATPのうち95%がミトコンドリアによってつくられていると言います。
ATPは電池のような役割があり、3つのリン酸分子の結合から分解されることでエネルギーを生み出します。

食物を摂取し、酸素の力で燃焼すると、CO2、つまり二酸化炭素が発生し、ATPと代謝水と呼ばれる水も同時に作られます。代謝水は1日で約300ml作られ、人間が1日に必要とする約2500mlの水分のうち8分の1程度は、代謝水で賄われていると考えられています。

ミトコンドリアがTCA回路を傷つける

ミトコンドリア内で発生しすぎた活性酸素はミトコンドリア自体を傷つけることは先に説明しました。ここで注意が必要なのは、活性酸素がミトコンドリアのATPを生み出すTCA回路の一部を傷つけてしまうことです。

TCA回路とは、クエン酸回路とも呼ばれ、大辞林第三版の解説によると以下の通りです。

TCA回路:酸素呼吸の反応過程の一部。解糖系によって生じた活性状態の酢酸がオキサロ酢酸と結合してクエン酸となり、順次、呼吸酵素の働きによって二酸化炭素と水とに分解され、その際、生活活動に必要なエネルギーを発生したりしながら再びオキサロ酢酸にもどる回路。

つまり、代謝をしながらエネルギーを生んでいく回路を傷つけることで、エネルギーの生産が衰えてしまうのです。

エネルギー生産が衰えると?

エネルギー生産が衰えるということは、人体の組織は動かなくなることを意味します。心臓や胃腸、肺などの臓器はエネルギーによって動かされているのですから、当然のことです。
臓器が働かなくなれば、健康を害するだけでなく命の危険さえもたらすことは、想像に難くありません。
ミトコンドリアの働きの低下は、これほど生命にとって重要な影響を及ぼすのです。