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パワーストーンの代表格
「水晶」の正体とは?
「シリカ」というと、一見とっつきにくい印象があるかもしれませんが、意外と身近なところに存在しています。たとえば、パワーストーンとして親しまれている水晶が、実はシリカからできていることをご存知でしょうか。
シリカはケイ藻類に多く含まれています。ケイ藻はワカメやコンブなどの海藻の仲間で、細胞の周りにガラス質の殻を持つのが特徴です。ただし、とても小さい生物なので肉眼で確かめることはできません。このケイ藻の死骸が海や湖の底に蓄積し、長い年月をかけて結晶になったものを石英(せきえい)といいます。その中でも純度99%を誇るのが、天然の水晶(クリスタル)です。
一般的に水晶と聞くと、ブレストレットやネックレスなどの装飾品を想像する人も多いでしょう。しかし、水晶の役割はそれだけではありません。身の回りにある多くの電化製品に使用されています。半導体が「産業の米」と呼ばれるのに対して、水晶は「産業の塩」と言われるほど、現代社会になくてはならない存在なのです。
最も身近な例としてあげられるのが、クォーツ時計です。クォーツは英語で石英を意味し、時計の心臓部に水晶振動子が組み込まれたものをクォーツ時計といいます。水晶振動子は、電子機器の動作に必要な信号を常に安定的に発するため、広く産業利用されています。
クォーツ式ムーブメントは今や時計の主流を占め、古くからある機械式時計に比べるとはるかに正確で、価格が安く、壊れにくいのが特徴です。
こうした実用には、天然ではなく人工的に合成された水晶が使われています。天然水晶は産出量が限られており、品質や大きさにもばらつきがあるので、供給面でも品質面でも安定した人工水晶が採用されるようになりました。時計だけではなく、パソコンや携帯電話、テレビなど基準信号を発するあらゆる電子機器に搭載されています。
いにしえから神秘のパワーがあると珍重されてきた水晶。時代を超え、今もなお、最先端技術を支えています。古くて新しい、地球からのかけがえのない贈り物といえるでしょう。
お菓子の乾燥剤もシリカが関係していた!
お菓子やもち、海苔などに入っている「たべられません」でおなじみの小さな袋も、実はシリカと関係しています。あの無色透明のつぶつぶの正体は「シリカゲル」。強力な乾燥剤として、食品全般や医薬品、革製品などに幅広く活用されています。
シリカゲルの主成分は二酸化ケイ素(シリカ)です。ケイ素のガラス成分に科学的反応を起こすことで、多孔質で大きな表面積を持つ構造を作り出しました。無数の穴に湿気を吸着させることで、乾燥剤としての役割を果たします。
シリカゲルは石英や水晶の成分と同じ物質なので毒性はありません。体内で消化吸収されないので、誤って食べても大部分は体外に排出されます。その安全性は高く評価され、食品添加物にも使用されているほどです。
シリカの原料となる二酸化ケイ素(シリカ)は安定性が高く、吸湿しても溶けたりべたついたりしません。また、土壌にも多く含まれている成分なので、ゴミとして廃棄してもやがて土へと還っていきます。つまり、人だけでなく環境にも非常に優しい素材なのです。
このようにシリカは、気づかないところで活躍しています。私たちの身の回りを支える貴重な資源として、その用途は無限の可能性を秘めていると言えるでしょう。