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食物繊維としての
はたらきをするケイ素

食物繊維といえば、正常な便通を促すために積極的にとるべきものとして有名ですが、現代人の食生活には食物繊維が不足しがちであると言われています。現に、厚生労働省が推奨する1日の食物繊食事摂取基準は成人男性が20g以上、成人女性が18g以上となっている一方で(※1)、実際に摂取できている量はおよそ14~15gにとどまっています(※2)。

そうはいっても、現代の食生活では食物繊維を多く摂ることはなかなか難しいのが現状です。食物繊維をたくさん摂るためには、一体どうすればよいのでしょうか。

食物繊維が多く含まれる食物とは

食物繊維が多く含まれるのは以下のような食材です。乾物なども上手に利用しながら、これらの食材を食事の中にバランスよく取り入れるようにしましょう。

穀類:オートミール・ライ麦パン・そばなど
野菜:切り干し大根・グリーンピース・パセリ・モロヘイヤ・ごぼうなど
果物:干し柿・ドライイチジク・ドライプルーンなど
豆類:いんげん豆・小豆・えんどう・大豆など

ケイ素は植物や海藻類に含まれる食物繊維を構成する

食物繊維には、大きく分けて水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があります。水溶性食物繊維には果物や野菜に含まれるペクチン・こんにゃくに含まれるマンナンなど、不溶性食物繊維には繊維質の野菜に含まれるセルロース、カニの殻に含まれるキチンなどがあります。

このうち、野菜や果物、海藻類などに含まれる食物繊維は、実はケイ素からできています。ケイ素は地殻に溶け込んでおり、そのケイ素が田畑で取れる野菜・果物や海中で育つ海藻類に吸収され、それらの細胞壁を構成しているのです。そのため、植物性食物繊維の正体はケイ素であると言っても過言ではないでしょう。

煮込むことで水溶性ケイ素が溶け出す

食物繊維はとても頑丈な作りになっていて、こわれにくく、そのままではほとんど消化されません。しかし、長時間煮込んでいくと、ケイ素が水溶性の成分となって煮汁の中に溶け出してきます。水溶性のケイ素は体内に吸収されやすくなるため、身体の中に入って腸に届くと、腸内環境を整えたり、正常な便通をサポートします。野菜は煮込むとかさが低くなって食べやすくなる上にケイ素も摂れるので、一石二鳥であると言えるのではないでしょうか。

そうはいっても、野菜や海藻類からとれるケイ素の量は決して多くはありません。野菜や海藻類を多めに摂りながらも、足りない分を水溶性ケイ素のサプリメントなどで補うことも必要です。普段から腸の調子があまり良くない方は、食物繊維を多く含む食材を食事の中に取り入れるようにしましょう。

※1:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要」pp.14

※2:厚生労働省「栄養素等摂取量」